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XPGタンパク質はTFIIHを安定化し、その欠損はコケイン症候群の発症に至る。

論文誌情報 Mol Cell 26, 231-243 (2007)
著者 Ito S, Kuraoka I, Chymkowitch P, Compe E, Takedachi A, Ishigami C, Coin F, Egly JM, and Tanaka K
論文タイトル XPG Stabilizes TFIIH, Allowing Transactivation of Nuclear Receptors: Implications for Cockayne Syndrome in XP-G/CS Patients.
PubMed 17466625
研究室HP 細胞機能学研究室〈西條准教授〉

要旨

 XPGタンパク質は、紫外線などにより誘発されるDNA損傷を修復するヌクレオチド除去修復機構に必須の構造特異的エンドヌクレアーゼである。XPG遺伝子に変異をもつと、高発癌性の色素性乾皮症(XP)に加え、精神身体発育不全や早老症など重篤な症状を示すコケイン症候群を合併する(XP-G/CS)。この修復タンパク質XPGの変異によってなぜこのような重篤な遺伝病に至るのかはこれまで不明であった。今回、我々はXPGをタンパク質複合体として精製した。その結果、1)XPGは基本転写因子TFIIHと安定な複合体を形成していること、2)XP-G/CS患者細胞においては、XPGとTFIIHは複合体を形成せず、TFIIH構造が不安定になっていること、3)その結果、XP-G/CS患者細胞では核内受容体を介した転写の活性化機構に異常をもつこと、を明らかにした。これらの結果は、XPGの転写機構への関与を示唆し、コケイン症候群の臨床症状の一部はこの転写機構の異常と関連していることを示唆する。

図1 XPGはTFIIHを安定化する。

Tanaka2007-800.jpg XPGはTFIIHとタンパク質複合体を形成することで、TFIIHを安定化し、DNA修復及び転写機構に関与する。しかし、XP-G/CS患者で発現している欠失変異型XPGは、TFIIHと複合体を形成することができず、TFIIH構造が不安定化している。その結果、DNA修復に加えて転写機構に異常を持つ。転写機構の異常がコケイン症候群発症の原因になっていることを示唆する。