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紫外線によって誘導されるXPCタンパク質のユビキチン化はUV-DDB複合体の持つユビキチン・リガーゼ活性によって行われる。

論文誌情報 Cell 121, 387-400 (2005)
著者 Sugasawa K, Okuda Y, Saijo M, Nishi R, Matsuda N, Chu G, Mori T, Iwai S, Tanaka K, Tanaka K, Hanaoka F.
論文タイトル 紫外線によって誘導されるXPCタンパク質のユビキチン化はUV-DDB複合体の持つユビキチン・リガーゼ活性によって行われる。
PubMed 15882621
研究室HP 細胞機能学研究室〈西條准教授〉

図1 紫外線によって誘導されるUV-DDB依存的なXPCタンパク質のユビキチン化...

要旨

ヒトの遺伝病である色素性乾皮症(XP)の患者は、紫外線によるDNA損傷を修復する機構に異常があるため、高頻度で皮膚がんを起こす。C群XPの原因遺伝子産物であるXPCタンパク質複合体と、E 群XPの原因遺伝子産物を含む紫外線損傷DNA結合因子(UV-DDB)は、いずれも紫外線によるDNA損傷に結合する性質があり、最初に損傷を見つけだして修復を開始するメカニズムに関わっているが、XPC複合体とUV-DDBの機能がお互いにどのように関わっているのかについては、分っていなかった。今回、我々は、細胞に紫外線を照射するとXPC タンパク質が可逆的にユビキチン化されること、この翻訳後修飾には機能的なUV-DDBの活性が必要であることを見出した。さらにXPCとUV-DDBとは直接相互作用すること、UV-DDB複合体の持つユビキチン・リガーゼによりこれらのタンパク質はポリユビキチン化を受けること、ポリユビキチン化されたUV-DDBは損傷DNAへの結合力を失い、プロテアソームによって分解されることが判明した。一方、ポリユビキチン化されたXPCは損傷DNAへより強く結合するようになること、そしてこちらはプロテアソームによる分解は受けず、脱ユビキチン化を受けて再利用されることを明らかにした。また試験管内でのDNA損傷の修復反応において、このXPCタンパク質のユビキチン化は、特にUV-DDBが存在するとき、必要であった。これらの結果は、紫外線損傷部位におけるUV-DDBからXPCへのバトンタッチにユビキチン化が重要であることを示している。すなわちこれまでよく分かっていなかったXPCとUV-DDBという二つの損傷認識因子の関係をクリアーにしたと同時に、タンパク質のユビキチン化の機能としても従来知られていなかった新たな局面を見出した。

図1 紫外線によって誘導されるUV-DDB依存的なXPCタンパク質のユビキチン化のモデル

hanaoka2005L.jpg 紫外線照射により細胞に損傷が生じると、UV-DDB複合体は損傷部位に結合し、ユビキチン・リガーゼ活性を阻害しているCSNが複合体から遊離すると同時にcullin4AがNedd化されて、ユビキチン・リガーゼが活性化される。DDB2とXPCとは相互作用するので、XPC複合体が損傷部位にリクルートされ、損傷部位でXPC、DDB2、cullin4Aがユビキチン化される。ポリユビキチン化されたUV-DDBは損傷DNA結合能を失う一方、XPCのほうはポリユビキチン化により損傷DNAへの結合力を高める。その結果、損傷がUV-DDBからXPC複合体へとスムーズに受け渡され、修復反応が次の段階へ進むことが可能となる。ポリユビキチン化されたUV-DDBはプロテアソームによって分解されるが、XPCのほうは分解を受けず、脱ユビキチン化を受け、再利用される。