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神経結合の新生と廃止は同じ遺伝子の二つの働き?

論文誌情報 Sci Rep 3, 3185 (2013)
著者 櫻木 繁雄,冨永(吉野)恵子,小倉 明彦
(大阪大学大学院生命機能研究科)
論文タイトル Involvement of TrkB- and p75NTR-signaling pathways in two contrasting forms of long-lasting synaptic plasticity
PubMed 24212565
研究室HP 神経可塑性生理学研究室〈冨永(吉野)准教授〉

図.論文の図4の抜粋。培養脳切片中の神経樹状突起の一部。とげ状に出ているのがシナ...

解説

 神経可塑性生理学研究室(小倉研)では培養脳を用いて記憶固定の機構を調べている。記憶の固定は、神経活動の結果新たな神経結合(シナプス)が作られたり廃止されたりして、情報の流路が変わることで実現すると想定されており、シナプスの新生や廃止は、培養下で再現することができる。今回、シナプス新生には脳由来神経栄養因子(BDNF)が、シナプス廃止にはその前駆体分子(proBDNF)が、それぞれ関与していることをつきとめた。BDNFとproBDNFは同一の遺伝子の産物であり、一見正反対に思われるシナプスの新生と廃止が、タンパク質合成後の微妙な修飾で調節されていることになる。

図.論文の図4の抜粋。培養脳切片中の神経樹状突起の一部。とげ状に出ているのがシナプス部位。DHPGという刺激薬を短時間投与して化学的にシナプス弱化(cLTD)を3回くりかえし誘発すると、シナプスが減る(2段目)。しかしproBDNF受容体(p75)を抗体で遮蔽すると、むしろシナプスは増える(3段目)。これはproBDNFがBDNF受容体(TrkB)をクロス活性化したためと考えられ、TrkBをも遮蔽すると効果は消える(4段目)。シナプス強化を逆転させる実験など、詳細は論文参照。

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