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非標準有限差分時間領域法を用いたモルフォチョウの構造色の研究:交互に重なる棚構造と高密度のリッジがもたらす効果

論文誌情報 Phys Rev E 80, 051924 (2009)
著者 Dong Zhu, Shuichi Kinoshita, Dongsheng Cai and James B. Cole
論文タイトル Investigation of structural colors in Morpho butterflies using the nonstandard-finite-difference time-domain method: Effects of alternately stacked shelves and ridge density
PubMed 20365023

要旨

 中南米に生息するモルフォチョウは強烈な青色の光を放つチョウとして有名です。この青は色素の色ではなく、構造が作り出した色です。モルフォチョウの翅に並んだ鱗粉には、棚が左右に何段も突き出ているリッジと呼ばれる筋があります。モルフォチョウの青色発色の仕組みはこの奇妙な構造に隠されています。これまで、この複雑な構造を単純化したさまざまなモデルが考えられてきました。その結果、青を作るためには、棚が規則正しく並んでいることが重要であることがわかりましたが、モルフォチョウの翅に当たった光が広い角度に広がって反射されることは説明できませんでした。この問題を解決するために、高精度の非標準有限差分時間領域法を用いて、電子顕微鏡写真から得た構造そのものを使って計算し、光が反射されていく様子を直接、計算機で捉えることができました。
 この結果、これまであまり注目されて来なかった構造が意外に大きな役割を果たしていることが分かりました。一つは棚が左右互い違いに付いていることで、真上に反射される光を打ち消し、反射方向を広げる働きがあります。もう一つはリッジがぎっしりと並んでいることで、隣のリッジが邪魔をして、反射角度があまりに広がり過ぎるのを防ぎ、結果として青を強める効果があります。これらの結果は、従来までの考えとは全く異なり、モルフォチョウの青色発色機構に新しい解釈を与えることになりました。

 

図1 モルフォチョウとその鱗粉および鱗粉の断面の電子顕微鏡写真

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図2 電子顕微鏡写真から得た構造を使って計算した光が反射される様子

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