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神経軸索が脳の前方へと伸長するメカニズムの解明

論文誌情報 J Neurosci 29, 4044-4055 (2009)
著者 Kenta Yamauchi, Shigeki Mizushima, Atsushi Tamada, Nobuhiko Yamamoto, Seiji Takashima, and Fujio Murakami
論文タイトル FGF8 Signaling Regulates Growth of Midbrain Dopaminergic Axons by Inducing Semaphorin 3F
PubMed 19339600
研究室HP

図1.中脳ドーパミン作動性ニューロン軸索が前方へと伸長する機構発生初期においてシ...

要旨

ラット、マウスを用いた実験で、神経軸索が脳の前方へと伸長するメカニズムを解明することに成功しました。 神経回路は発生期に神経細胞がその出力線維である軸索を伸長させ、標的の細胞とシナプスを形成することで構築されます。よって正確な神経回路の構築には神経細胞が正しい方向へと軸索を伸長させることが必要不可欠となります。多くの神経細胞はその軸索を脳の前方、後方へと伸長させますが、軸索がどのようにしてその方向性を決定しているのかに関しましてはほとんど解明されていませんでした。今回我々は中脳に存在しその軸索を前方へと伸長させる中脳ドーパミン作動性ニューロン(mDANs)をモデル系として用いることで、脳の領域形成に重要な役割を果たすシグナリングセンター由来のシグナルが軸索の伸長方向を決定する遺伝子の発現を誘導し、mDANs軸索の後方への伸長を防ぐことで、mDANs軸索を前方へと伸長させていることを突き止めました(図1)。シグナリングセンター由来のシグナルは背側、腹側方向への軸索伸長の方向性の決定にも重要な役割を果たしていることが知られており、今回の研究結果は、神経軸索はシグナリングセンターの活性により形成される位置情報を基にして自らの進むべき方向性を決定している可能性を示すものです。

murakami0904.gif図1.中脳ドーパミン作動性ニューロン軸索が前方へと伸長する機構発生初期においてシグナリングセンターの一つである中脳・後脳境界領域 (MHB) 由来のFGF8シグナルは、中脳の前後軸方向の領域形成を制御すると同時に軸索ガイダンス分子sema3Fの発現を誘導する。その後中脳ドーパミン作動性ニューロン(mDANs)軸索はFGF8により誘導されたsema3Fの軸索伸長抑制作用により前方へと伸長する。