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神経回路網の多様性を生み出す遺伝子コードと軸索ガイダンスプログラムの同定

論文誌情報 Neuron 50, 841-853 (2006)
著者 Shirasaki R, Lewcock JW, Lettieri K, Pfaff SL.
論文タイトル FGF as a Target-Derived Chemoattractant for Developing Motor Axons Genetically Programmed by the LIM Code
PubMed 16772167
研究室HP 細胞分子神経生物学研究室〈山本教授〉

図1 : 図の説明:LIMホメオボックス型転写調節因子Lhx3をすべての運動ニュ...

要旨

 最近の研究により、神経細胞の個性(運命)決定は特定の転写因子群の特異的な組み合わせの発現パターンによって制御されることが明らかとなり、これらの特定の転写因子コードが、さらに特異的な軸索伸長路選択に関わるガイダンス分子のレセプターの発現を促すと考えられている。しかしながら、これらの個性決定化に関わる転写因子、特にLIMホメオボックス型の転写調節因子によって制御されている軸索ガイダンスプログラムに関しては未だ不明な点が多い。現在、神経発生学において、中枢神経系を構成する個々の神経細胞の多様性獲得とその個性がいかに確立されていくかという問題に関して、先導的な役割を果たしているモデル系の一つに脊髄運動ニューロンの発生分化過程が挙げられる。今回、我々はこの脊髄運動ニューロンの系において、運動ニューロンサブタイプの個性決定に関わるLIMホメオボックス型転写因子制御下のガイダンス分子レセプターとそのリガンドを同定し、標的由来のFGFシグナルがその鍵を握る分子の一つであることを突き止めた。これにより、神経細胞の個性決定化プログラムに連動して制御される神経回路形成のメカニズムの一端を明らかにした。

図1 :

Shirasaki2006-800.jpg 図の説明:LIMホメオボックス型転写調節因子Lhx3をすべての運動ニューロンのサブタイプに強制発現(Lhx3 knockin)させることで、本来のサブタイプに特異的な個性化プログラムを再編成させた。その結果、それに連動して変更された軸索ガイダンスプログラムの一つが標的から分泌されるFGFシグナルへの応答性の獲得に関連していることを示す。