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脳幹コリン作動性ニューロンの神経ダイナミクスと随意運動発現機能
- 状況依存的な神経振動現象の発見 -

論文誌情報 PLoS One (2015)
著者 岡田研一(1,2),小林康(1,2,3,4)

  1. 大阪大学大学院生命機能研究科
  2. 脳情報通信融合研究センター(CiNet)
  3. 大阪大学社会経済研究所
  4. 科学技術振興機構さきがけ
論文タイトル Rhythmic Firing of Pedunculopontine Tegmental Nucleus Neurons in Monkeys during Eye Movement Task
PubMed 26030664
研究室HP 視覚神経科学研究室〈大澤教授〉

解説

研究の概要

 当研究科脳神経工学講座・視覚神経科学研究室の小林康准教授、岡田研一特任研究員の研究グループは、サル脳幹脚橋被蓋核で行動状況依存的なニューロン活動ダイナミクスの変化をとらえました。


研究の背景

 パーキンソン病などでは随意運動異常とともに、脳幹中脳のドパミン、アセチルコリン系のモジュレーションによる大脳の集団的な神経活動ダイナミクスに異常が見られます。非侵襲で大脳、脳幹活動を操作し、随意運動を改善させるような効果的な脳刺激法を開発するうえで、ヒトに近いサルで脳幹アセチルコリン系のニューロン集団の単一細胞レベルで、随意運動遂行と神経活動のダイナミクスの関係を明らかにする必要があります。


研究の成果

 サル脳幹のアセチルコリン性の脚橋被蓋核(図1参照)において、特に随意眼球運動(図1参照)遂行中に、α-βレンジ(8-30Hz)で規則的な単一ニューロン活動(図2参照)が生じることを発見しました。


本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

 反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)は、非侵襲的に大脳皮質を局所刺激してその神経活動を促進あるいは抑制する方法で、すでに臨床の場で試用されていますが、その作用機序については多くの不明な点があります。わたしたちはサルを用いて、異なる方法(部位や頻度・強さ)のrTMSによる脳の活動の変化と、その結果引き起こされる行動・自律神経反応の変化を特定することにより、rTMSによる脳機能操作法の確立をめざしています。具体的には認知行動課題を遂行しているサルを用いて、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)が中脳ドパミン・脳幹アセチルコリン系の変化を介して注意・意欲・覚醒レベル・学習・意思決定の変容をもたらすメカニズムの解明を試みています。今回得られたサル脳幹アセチルコリン系の単一細胞レベルでの随意運動遂行と神経活動のダイナミクスの変化を、今後適切なrTMSパターンの開発につなげたいと考えています。

図1.サル眼球運動課題の様子。課題中に脳幹脚橋被蓋核から単一神経細胞の活動を記録。

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図2.眼球運動課題中のサル脳幹脚橋被蓋核の単一神経細胞の活動野様子。課題遂行中は活動が規則的になる。

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