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酵母における染色体異数性はゲノム不安定性を促進する

論文誌情報 Science 333, 1026-1030 (2011)
著者 Jason M. Sheltzer (1), Heidi M. Blank (1), Sarah J. Pfau (1), Yoshie Tange (2), Benson M. George (1), Timothy J. Humpton (1), Ilana L. Brito (3), Yasushi Hiraoka (2, 4), Osami Niwa (5) and Angelika Amon (1)
  1. David H. Koch Institute for Integrative Cancer Research and Howard Hughes Medical Institute (HHMI)
  2. Graduate School of Frontier Biosciences, Osaka University
  3. Department of Ecology, Evolution and Environmental Biology, Columbia University
  4. Kobe Advanced ICT Research Center, National Institute of Information and Communications Technology
  5. The Rockefeller University
論文タイトル Aneuploidy Drives Genomic Instability in Yeast
PubMed 21852501
研究室HP 細胞核ダイナミクス研究室〈平岡教授〉

解説

要旨

染色体の異数性がゲノムの不安定性を促進する可能性を検討するために、出芽酵母および分裂酵母において様々な異数性細胞を作成し、遺伝情報の保存・伝達という観点からその特徴を解析した。出芽酵母および分裂酵母の両方で、異数体細胞では、DNA二重鎖切断の蓄積とDNA損傷修復の低下が見られ、出芽酵母ではこれに伴って突然変異や染色体の分配異常が亢進し、ゲノムの不安定性が増していることがわかった。

解説

正常な細胞が2倍体の染色体構成(父母に由来する2セットのゲノム)を持つのと対照的に、多くのガン細胞で染色体の異数性が見られる(染色体数に過不足がある)。細胞のがん化、がんの悪性化に関連した突然変異や染色体構造の変化が染色体異数性とどのような関係があるかは不明であった。今回の酵母を用いた研究から、異数体細胞では、突然変異や染色体の再編が起こりやすく、ゲノム構造の変化や突然変異が起こりやすくなっていることがわかった。

図1.
染色体の異数性とゲノム・遺伝情報の不安定化や癌との関係を示すモデル図

hiraoka-amon-1.jpg (図をクリックすると拡大されます)

図2.
分裂酵母異数体におけるDNA損傷修復機能の異常

hiraoka-amon-2.jpg (図をクリックすると拡大されます)

分裂酵母異数体細胞(右)ではDNA切断修復たんぱく質(Rad22)が正常細胞(左)と比較して異常に蓄積している。Rad22たんぱく質は蛍光たんぱく質(GFP)で標識されている。