おもろい研究!君ならできる、ここでできる|新しい生物学・生命科学を拓く大学院|大阪大学大学院生命機能研究科

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卒業生より

パナソニック株式会社<br><br>新井稔也さん<br>平成22年度修了<br>博士(生命機能学)

これからの大学院生へ


パナソニック株式会社

新井稔也さん
平成22年度修了
博士(生命機能学)  

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これからの大学院生へ

博士課程に進んだ上での就職について、
細かいことも多いですが、経験談を書き残しておきます。
就職を考えている人はもちろん、アカデミアを考えている人、
博士に進むかどうか自体迷っている人も含め、
すべての大学院生に読んで欲しいと思って書きました。

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1) 研究室外、学外へ目を向けよう
博士に進むと、就職できるか不安だという話を聞きます。
ただ僕自身、そのような声がある中、就職活動をしていましたが
博士だから不利ということは全く感じませんでした。
うまくいったから言うのですけど、就活なんて、ちょろいです。
不安をあおる情報もWebには蔓延していますが、迷信です。
ただそれは、私が普段から研究のほか、
以下の事を行ってきたからこそだと思っていますので、
皆様にもそれを勧めることにします。

セミナーに出る
 一見興味ない内容でも積極的に出ることを勧めます。
 いきなり今回のメッセージの主旨とは離れるのですが、
 自分が話すときどうすればいいのかの参考になります。
 実際、普段セミナーに出ていない人ほどゼミや卒研発表等でも
 上手く出来ない人が多いと感じていました。

懇親会に出る
 懇親会等、機会のある限りいろんな人と話してください。
 先輩等にも紹介してもらって繋がりをひろげましょう。
 若手の会に参加するのもおすすめです。
 イベントがあれば積極的に参加しましょう。

研究室の外に出る
 研究以外のことをしてください。
 それも積極的に。

特に最後が大事で、人とのつながりがそのきっかけになります。
研究室外に知り合いがいない状態では、外に出るきっかけも得にくいでしょう。
上記3つは実はすべてつながっていて、
友達が出来たとか、いい経験になったとか、そんなレベルどころではなく、
就職がうまく行くかどうかを決める直接的な要素にすらなります。


僕の場合、
学部時代、毎日終日で働き、結果2年も留年しました。
また博士課程中、京大にも科目履修生として1年間通っていました。
知的財産権のことも勉強し、特許も申請してきました。
どれも卒業や学位取得には役に立っていませんが、
就職活動では留年した時のことさえ、プラス方向に高く評価してもらい、
結果エントリーから内々定まで2週間強で、1社だけで就活は終わりました。
その企業と僕の方で相性がよかったという点もたぶんありますが、
それまでの活動、特に研究以外の活動も含め評価してもらった結果だと思います。
そして思い返してみると、
これらの項目は全て学部のサークルや懇親会、若手の会などでの、
他の人との繋がりから始まった活動でした。
懇親会や若手の会、その他若手合宿等に積極的に参加し、人と繋がり、
研究室の外に繋がり、研究室外での活動が可能になっていたわけです。

皆様も、是非自分の研究以外に目を向けてください。
絶対役に立ちます。
但し、普段から研究活動をきちんとするのは当然です。
後述の(2)にも関連しますが、研究だけでは足りないということです。

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2) 博士に求められることを理解しよう
前述の通り、博士取ったから就職がないなんてことはないと私は思うのですが、
「自分の専門分野はこうだからそれしかしたくない。
いまさら他のことをやるなんてもったいない。」
などと考えて逆に自分から幅を狭めてしまっている人も多いと聞きます。
博士号を持つ人が他の人より秀でているのは、専門知識だけでしょうか?
専門分野にこだわって自分の能力を限定してしまったら、
もっともったいないと思います。
アカデミアに行くとしても、
学生の頃のテーマで一生を過ごすなんてことはないでしょう。
では博士の強みとは何でしょうか?
研究能力?それはそうなのですが、それだけでしょうか?

本当は専門知識、技術なんてものは能力の一部で、
博士の能力というものは、
プロジェクト遂行で得たマネジメント能力、交渉力、
研究室運営で得た事務処理能力、後輩への指導で得た指導力
プレゼン力、論理的思考力、資料作成能力、文章作成能力、構成能力
プログラミング能力、英語力、etc....
まだまだ、実は挙げたらきりがない、
専門分野の知識なんておまけかと思うぐらい。

博士は専門家というより、研究室を運営できる総合力を持った人だと
思いますし、それが求められていると思います。
(自分がそこまでの能力があるかは棚にあげさせてもらいますが)
修士でも同様で、専門力さえつければいいとは思わない方がいいです。

研究だけやってきたという人でも、上記の能力は身に付いているはずで、
その総合力を自覚し、広く使いこなすことを是非考えてください。
自分で自分の能力の幅を狭める必要はないと思います。

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3) 企業のことをきちんと知ろう
そもそも企業に行ったら好きなことが出来ないからアカデミアに行く。
あるいは、やりたいことをやる人がアカデミアに残り、
お金が欲しい人は企業に行く、などと思っていませんか?
アカデミアに行く人も、あらためて考えてほしいと思います。

アカデミアに残ったとしても、
本当に好きなことは、自分で研究室を立ち上げないとできませんし、
それも結局は社会のニーズとマッチしてないと出来ないように思います。
さらにそれまでは、自分のやりたいことに近い研究をしている人のもとで
雇ってもらうしかないと思います。

ただそれは企業でも同じではないでしょうか。
やりたいことがあるのであれば、それに近い研究をしている企業で働き、
最終的には企業内で、新規にプロジェクトを立ち上げたらいいのです。
社会に役に立つ可能性が少しでもあるなら、出来ないはずはないと思います。
企業には自分のやりたいことは本当にないのでしょうか。
企業で何をやっているか、調べずに判断していませんか?

大企業なら実は基礎も応用も、いろんなことをしているので、
Websiteを見るだけでも、大まかにはですが、
どんな研究開発をしているのかわかります。
企業のホームページは楽しく見られるように出来ているので、
ちょっとした息抜きのつもりで、是非自分と全く関係ないジャンルも含めて、
いろいろな企業のサイトを調べてみてください。
意外な企業が意外なことをやっていて、自分の研究にも近かったりするので、
自分のやりたいことが、たぶん、どんどん出てきます。
僕の場合そうでした。
もし自分のやりたいことがあって、今どこの企業でもやってないとしても、
どこの企業なら将来やれそうだとか、そういうところも見えてくるはずです。


ところで、そのようにしてもしやりたいことが見つかって、
就職活動することになったら、
面接でそれを、本音の動機をきちんと伝えてください。
逆に、そういうことを一切せずに数だけたくさん受け、
よくあるマニュアルどおりのことを言ったとしても、
どこも雇ってくれないのではないかと思います。

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4) 時間感覚を持とう
博士ではなかなか卒業時期がきまらないということも
就職に至らない理由になるかもしれないけど、
ある程度見切り発車でもいいので、
卒業計画をたてて動くことを勧めます。

逆に、いつ卒業できるかわからないから、
卒業できるタイミングがわかったら就活しようという形だと、
いつまでたってもはじめられないと思います。
実際、博士だとしても1年以上前じゃないとエントリーできないところは
実際に多いと感じました。
企業からしても上記のような、時間感覚の持てない人は避けたい、
という狙いがあるのかもしれません。

募集要項には何も書いていない事が多いですが、
計画は立てたけど結果として遅れてしまったなら、
大きいところなら特にですが、待ってもらえる可能性もあります。
あるいは卒業だけして、企業で働きながら
学位取得を目指すという手もあるはずです。


企業側ももっと博士課程の事情を理解すべきだとは思っていますが、
そういった体質をかえるのは今企業にいる人たちではなく、
これから企業に行く現博士課程学生ではないでしょうか。
今後、人事や管理職に博士号を持った人が多数在籍するような時代になれば、
そうした溝も解消されると思います。
現時点では、無い物ねだりをしても仕方がないので、
学生側がそのような状況を理解して対応する必要があると思います。

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冒頭の集合写真は、私が委員長として企画した、
第2回GCOE学生主催若手合宿(2008@アクティブプラザ琵琶)に集まった面々です。