GCOE外国人研究者等セミナー

喜多善亮(脳神経工学講座 脳システム構築学研究室(村上研究室))

演題 Lighting Up the GABAergic World with Genetic Strategies
演者 Dr. Hiroki Taniguchi
(Cold Spring Harbor Laboratory)
日時

2009年 11月26日(木) 14:00-16:00

場所 吹田キャンパス ナノバイオロジー棟 3Fセミナー室






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報告

今回のセミナーではCold Spring Harbor Laboratoryの谷口弘樹博士から現在進行中のプロジェクトについて最新のデータを紹介して頂いた。
大脳皮質の神経回路の構成と機能を理解するには,回路を構成する多様なタイプの細胞を体系的に見つけ出しそれぞれの細胞の特性を解明することが必須である。
大脳皮質において,GABA作動性介在ニューロ ンは少数派の細胞群(大脳皮質のニューロンの20%)にもかかわらず,もっとも多様性に富む神経細胞である。これらの細胞は出力先の細胞の活動を抑える働きをし,大脳皮質の神経回路の機能的なバランスや複雑性を確立するために欠くことのできない細胞である。 このGABA作動性介在ニューロンの多様性をすべて明らかにすることは従来の解剖学な方法や生理学的手法では困難であった。
谷口博士らはこの問題を解決するために遺伝学的戦略を用いた。遺伝学的戦略では,GABA作動性ニューロンの多様性を生み出し,それを維持するの関与する内在的な遺伝調節機構を利用する。このため,多様なGABA作動性ニューロンを区別することが可能になると考えられる。谷口博士らはCre組み換え酵素あるいはタモキシフェン依存性Cre組み換え酵素を,すべての主要なタイプのGABA作動性ニューロンで発現する20以上ものノックイン"ドライバーライン"を作成した。ターゲットとなる遺伝子座にはGABA作動性ニューロンの分化に関与する転写因子やより成熟したGABAニューロンの機能に関与する遺伝子の遺伝子座が選ばれた。
作成されたCreドライバーラインとROSA26-loxP-stop-loxP-GFPレポーターマウスかけ合わせることにより,それぞれのラインの特性の解析が現在進行中である。講演ではいくつかのラインについてのデータを示していただいた。どのラインでもGFPの発現パターンは内在的な遺伝子の発現を反映しており,様々なタイプのGABA作動性ニューロンが非常に綺麗に可視化されていた。また,こうして作成されたマウスを利用したGABA作動性ニューロンの解析がすでに進行中で,これについても最新のデータを示していただいた。
今回谷口博士らが作成したマウスにより,GABA作動性ニューロンの多様性における発生学的あるいは生理学的な問題にどのような新発見がもたらされるのか,今後の展開が期待される。



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