GCOE外国人研究者等セミナー

浅野剛史(細胞ネットワーク講座  代謝調節学研究室(岩井研究室))

演題 Allosteric Effects on Ubiquitin Ligase Activity by a Novel E2 Binding Region: Integration of Structural and Molecular Biology
演者 Dr. R.Andrew Byrd
(Structural Biophysics Laboratory, NCI, Frederick, MD, USA)
日時

2009年 11月9日(月) 16:00-17:00

場所 吹田キャンパス ナノバイオロジー棟 3Fセミナー室






※クリックで写真拡大

報告

 2009年11月9日(月)16:00~17:00、大阪大学生命機能研究科ナノバイオロジー棟3階セミナー室において大阪大学グローバルCOEセミナーが開催された。今回は、アメリカ国立がん研究所(NCI)のAndrew Byrd博士が 「Allosteric Effects on Ubiquitin Ligase Activity by a Novel E2 Binding Region: Integration of Structural and Molecular Biology」という演題で講演された。
 Bryd博士は核磁気共鳴スペクトル(NMR)を用いた構造解析の専門家であり、はじめにNMRの原理や特性を丁寧に解説されたあと、本題では小胞体関連分解に関わるユビキチンリガーゼ(E3)であるgp78のユビキチン化の活性制御について講演された。
 ユビキチン修飾系はE1(活性化酵素)、E2(結合酵素)、E3(ユビキチンリガーゼ)の3種の酵素群の働きによりE3が選択的に識別する標的タンパク質にユビキチンを結合させる翻訳後修飾系で、たんぱく質分解など様々な生命現象に関わっている。
 博士らはNMRを用い、E2であるUbe2g2がgp78のG2BRドメインと結合した構造とUbe2g2単独の場合とを比較し、結合のある場合では、gp78のUBAドメインとUbe2g2との結合が増強されることを見いだされた。その結果、基質のユビキチン化反応が著しく促進されという速度論的解析の結果を示された。すなわちE3のRINGドメイン以外の領域とE2の相互作用によって生ずる構造変化がユビキチン化活性を上昇させるという新たなE2の活性化機構が存在することを示された。最後にgp78の活性制御に有効な化合物の探索についても触れられ、gp78はアテローム動脈硬化やALS等様々な疾患の原因となるタンパク質を基質とするためこれらの治療に役立つ可能性があることに言及された。
 今回のセミナーでは、E2がE3との結合の結果生ずる構造変化により活性が制御されるという、いわゆるアロステリック制御が効率よいユビキチン化に重要であることが明瞭になり、NMRによる構造解析を用いたタンパク質の活性制御解明の有用性が印象深かった。その他のユビキチンリガーゼでも同様の機構が存在するかは今後の解析の課題であろう。
 講演後の質疑応答でも活発な議論が交わされ、大変興味深いセミナーとなった。



一覧へ戻る