GCOE外国人研究者等セミナー

西村 なおこ (細胞ネットワーク講座 形態形成研究室 (近藤研究室))

演題 Cross-talk between Sox2 and Ser1 in otic progenitors
演者 Dr. Joana Neves
(DCEXS Universitat Pompeu Fabra)
日時

2009年 4月16日(木) 12:00-13:00

場所 吹田キャンパス アネックス棟 2階会議室






※クリックで写真拡大

報告

 今回セミナーをして下さったJoana Nevesさんは、Fernando教授の元で内耳の発生を研究している。内耳は神経細胞と有毛細胞および支持細胞から成り立つが、これらが内耳前駆体である耳胞からどのような機構で分化するのかは未だ不明な点が多い。内耳の発生過程で重要な役割を担う因子としてSox2およびNotchシグナルが知られている。他の研究グループによって、Jag1(Jagged1)をマウスでコンディショナルノックアウトした実験およびNotchシグナルを阻害した実験では、Sox2の発現が消失することが明らかになっていたため、内耳ではNotchシグナルがSox2の発現に関与していることが示唆されていた。
 彼女はニワトリ胚を用いて、内耳の発生過程におけるSox2とNotchの関連性を調べる研究を行った。ニワトリ胚の耳胞ではSox2がNotchシグナルのリガンドであるJag1と共局在していることを確認した。また、Sox2(cSox2)とJag1(hJag1)をin ovoのエレクトロポレーション法でニワトリ胚の内耳にそれぞれ強制発現させ、内在性のSox2とJag1の発現量をin situ hybridizationおよびReal-time PCRを用いて検出した。その結果、Jag1を強制発現させると内在性のSox2の発現量が増加し、Jag1によってSox2の発現が誘導されることが示唆された。次に、NotchシグナルがSox2の発現に関与しているのかを調べるために、Notchシグナルを阻害するDAPT(セクレターゼ阻害剤)をニワトリ内耳に強制発現させた結果、内在性のSox2の発現が減少し、NotchシグナルもSox2の上流で作用していることを示した。さらにJag1を強制発現させたニワトリ胚の内耳では、Notchシグナルのターゲット遺伝子であるHey1およびHey2の発現量が増加し、Jag1がNotchシグナルに作用することが考えられた。
 これらの研究から、Jag1によって発現が誘導されたNotchシグナルが直接的または間接的にSox2の発現を誘導し、耳胞からの有毛細胞および支持細胞の分化に関与しているという知見を見出した。
 内耳の発生過程ではNotchシグナルによってSox2の発現が誘導されるという知見は、大変興味深い内容であった。セミナーで提示されたデータはどれも非常に美しく、一つ一つの研究を論理的に進めている印象を受けた。セミナー後は昼食を交えてディスカッションがあり、非常に有意義な時間となった。



一覧へ戻る