GCOE外国人研究者等セミナー

田中 千夏(個体機能学講座 発生遺伝学研究室 (濱田研究室))

演題 Signaling assembly of TGF-beta family ligands and receptors
演者 Senyon Choe
(Professor, Structural Biology Laboratory The Salk Institute, USA)
日時

2007年 12月5日 (水) 15:00-

場所 吹田キャンパス アネックス棟2階セミナー室


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報告

 生体内の細胞は、ホルモンやTGFβなどの分泌因子が、標的細胞の持つレセプターに結合して、細胞内にシグナルを送ることでコミュニケーションを取って いる。TGFβリガンドの種類はレセプターの数より多いが、レセプター・リガンド複合体形成の特異性はどのような仕組みで獲得されるのだろうか。
 TGFβレセプターにはタイプIとIIがあるが、タイプIIレセプターの方がリガンドとのアフィニティーが高く、先にリガンドと結合する。アクチビン
タイプIIレセプター細胞外ドメイン(ActRII-ECD)とBMPの複合体の構造解析を行ったところ、1つのBMPダイマーにつき2つのActRII -ECDが結合していることが分かった。また、タイプIレセプターは、BMPの2つの分子の境目を認識し結合していた。BMPダイマーはwing- spreadlikeと呼ばれる構造を持つが、2つのActRII-ECDとの結合によりこの翼が広げられた形を取り、この結果生じるBMP2分子の境目 をタイプIレセプターが認識していることが分かった。
 BMPアンタゴニストであるNogginは、BMPに結合し、BMPのレセプターへの結合を阻害する。BMP3はBMP活性を持たず、BMPアンタゴニ ストとして働くことが知られているが、これはBMP3のタイプIIAレセプターに対するアフィニティーが低いためと考えられた。BMP3は他のBMPとは 異なるアミノ酸配列S28を持つが、この部分に変異を導入するとタイプIIAレセプターとのアフィニティーは増加し、また活性も示すようになることが分 かった。
 TGFβリガンドは異なるリガンド間でヘテロダイマーを形成し、これにより新しい活性を獲得しうる。例えばBMP2とBMP6のヘテロダイマーは
BMP2もしくは6単独のホモダイマーよりもずっと活性が高く、こういったヘテロダイマー形成によりさらなるリガンドの多様性が獲得されると考えられる。
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