GCOE外国人研究者等セミナー

川住 愛子(個体機能学講座 発生遺伝学研究室 (濱田研究室))

演題 Left-right asymmetric morphogenesis in heart looping
演者 Yukio Saijoh
(University of Utah, Department of Neurobiology and anatomy)
日時

2007年 11月16日 (金) 14:00-18:00

場所 吹田キャンパス アネックス棟2階セミナー室




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報告

 脊椎動物の内臓構造は左右非対称である。例えば、心臓は頭尾軸より左に傾いており、肺、肝臓は左右でその分葉数が異なっている。
 この様な内臓の左右非対称性は、初期体節期におけるNodal, Lefty, Pitx2などの左右非対称な遺伝子発現により制御されていることが明らかになったが、「最初に左右対称性が破られる機構」や「左右非対称な形態形成機構」については未だ未解明な点が多い。
 そこで演者Dr. Yukio Sijohは、「左右非対称な形態形成機構」について、最も初期に起こる左右非対称な形態形成である「心臓の左右非対称なlooping」に着目し、顕微 操作や経時観察による実験系に対して優れたモデル生物であるChickを用いて詳細な解析を行った。
 初めに、looping直前のheart tubeの中央に頭尾軸に沿って色素を顕微注入して細胞の移動を経時観察すると、heart tubeは「回転」と「伸長」によりloopingしていた。次に二本の心臓原基の片方に色素を顕微注入して経時観察すると、二本の心臓原基が融合し伸長 する際に中央部-側部の位置関係が尾部-頭部へ、また頭部-尾部の位置関係が中央部-側部へ回転・変換していた。
 また、左右非対称なシグナルを欠く変異マウスの心臓ではlooping自体に影響がないことより、伸長したheart tubeが空間の制限により自動的にloopingするのではないか、そして左右非対称なシグナルの役割はheart tubeの回転を必ず左方向へ向けることではないかと仮説を提唱されていた。
 演者Dr. Yukio Sijohは非常に詳細かつ正確にheart tubeの細胞移動を観察されており、この観察結果が既知の遺伝子発現パターンや変異マウス胚解析の結果と組み合わさることにより、左右非対称な形態形成 機構解明のための確実な一歩になると感じさせられました。また、アメリカでラボを立ち上げ新しく研究を始められた様子を知る事ができ、大変興味深いセミ ナーでした。



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