GCOE外国人研究者等セミナー

吉場 聡子(個体機能学講座 発生遺伝学研究室 (濱田研究室))

演題 Understanding abnormalities of the pulmonary veins: work in humans and animal models
演者 Steven Bleyl
(Assistant Professor of Department of Pediatrics, The University of Utah, USA)
日時

2007年 11月16日 (金) 14:00-18:00

場所 吹田キャンパス アネックス棟2階セミナー室




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報告

 総肺静脈還流異常症(TAPVR)は、肺静脈が左心房には戻らず、上大静脈や門脈、右心房など体静脈に還流する先天性心疾患である。チアノーゼ、高肺血 流と肺鬱血に伴う心不全、呼吸不全を示し、出生直後より重篤な病態となる。演者は、このTAPVRについて、ヒト、ニワトリ、マウスを用いた多角的なアプ ローチから、遺伝的な関係を明らかにしようとしている。
 頭ユタ州において、TAPVRを持つ2つの親族について、遺伝学的に連鎖解析を行ったところ、心臓の発生に必要ないくつかの既知の遺伝子を含む、約30 個の遺伝子が乗った遺伝子座をつきとめた。演者は、この近傍にコードされ、胚発生時に肺静脈の右側で発現する、血小板由来増殖因子受容体α (PDGFRA)に着目し、この分子とTAPVRの関係を調べた。ニワトリ胚に、PDGFRの阻害剤である、抗がん剤イマチニブを作用させると、通常離れ て位置する肺静脈が大静脈と融合し、TAPVRの形態を示した。また、pdgfra flox/floxマウスを用いて、肺静脈で発現するいくつかのcreマウスとの交配により、場所特異的にpdgfraを欠損させて表現型を観察したとこ ろ、低頻度ながらTAPVRを示す個体が現れた。これらの結果より、PDGFRAの欠損は、TAPVRを引き起こす原因因子の1つであるが、TAPVRは 単一の遺伝子の変異のみではなく、いくつかの要因に起因する病態であると考えられる。
 
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